京町家の特徴

京町家の一般的な特徴としては,「うなぎの寝床」と呼ばれる,間口が狭く奥行が深いつくりがあげられます。また,構造は伝統な軸組木造です。礎石に石が使われ,壁は漆喰塗り,建物の構造材には釘を使わず,継手(つぎて)やほぞを用いて建てられています。そのほかの特徴としては,以下のようなものがあげられます。
・虫籠窓(むしこまど)…2階部分の格子窓
・犬矢来(いぬやらい)…道路に面した外壁の下部に設けられるアーチ状の柵。馬の泥はねや犬猫の糞尿から壁を守るほか,足がかけにくいため泥棒を防ぐ効果もあるといわれている
・ばったり床几(しょうぎ)…道路に面する壁面に設けられた,折り畳み式の床几(しょうぎ) 
・鐘馗(しょうき)…疫病除けの神様の瓦人形。通りに面した軒庇の上に飾られている
・庭…玄関から裏庭までの土間の部分を通り庭,玄関を含まない部分を走り庭といい,ここに水屋,おくどさん(竈(かまど)),井戸,流し台などが置かれています。大規模な町家にはさらに坪庭といわれる小規模な中庭がある
・箱階段…狭いスペースを有効に利用するために,階段の下は引き出し収納になっている
・土蔵…漆喰塗りの厚い土壁と扉で防火性を高めた倉庫
・格子…京町家の特徴のひとつで道路に面する窓の外に設けられています。隙間を細くすることで,光が入り,中から外は見えやすいが,外から中は見えにくくなっている。格子には酸化鉄を主成分とした「紅殻(べんがら)」と呼ばれる塗料が塗られた「紅殻格子」もあり,店の種類によっていろいろな意匠がある

 京町家が特徴的な造りとなった理由は,京都が都であり人口密集地であったことが第一ですが,もうひとつ京都が盆地であることからくる独特な夏の蒸し暑さがあげられます。吉田兼好の「徒然草」にも「家の作りやうは夏をむねとすべし(家の作りようは夏を中心にしたほうがよい)」とあるように,京町家は直射日光が入りにくく,風通しのいいように「うなぎの寝床」型になったといえるでしょう。海外でも,スペイン南部など暑い地域では住宅をわざと密集させ,外向きの窓を少なくし,その分パティオと呼ばれる中庭を設けるなど,住宅で暑さ対策をしています。
 また,京町家では衣服の衣替えをするように,障子や襖などの建具も夏場は風を通す簀戸(すど)に変えたり,畳の上に竹で編んだ網代(あじろ)や籐莚(とうむしろ)を敷いて,触感でも涼しさが感じられるようにしていました。このような住居の衣替えを「設え(しつらえ)替え」といい,古くは衣替えと同じように,6月1日から夏の設えに替え,10月1日には普段の設えに替えています。

登録者京安心すまいセンター
最終更新日2022-03-07 15:59:09
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