みなさんの共有不動産、迷子になっていませんか?

不動産を共有名義にしていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。

相続・固定資産税の節税・購入時の資金計画など様々なご事情があると思います。
いざ、新たに賃貸もしくは売却するには共有者間の合意が必要で、
賃貸(管理行為)は過半数・売却(変更行為)は全員でする必要があります。

 

「そんなことはわかっている。夫婦・兄弟分かり合えているから問題はない。
それに今賃貸や売却を考えていない。」、との声も聞こえてきそうです。
しかし、共有者それぞれのライフプランは様々で、
その変化によって当然意見が割れる可能性があります。
「売る?売らない?」など方針が決まらないうちに空き家空き地として放置。
また、お亡くなりなるとその持分に相続が生じて、
法定相続分に応じて更に共有者が増える場合も。

そうなると、いざ不動産を活用しようとすると、
必要な他の共有者からの持ち分の取得や承諾に手間取ります。
当然、時間の経過で共有者の特定が難しい場合、持ち分の価格が折り合わない場合も想定されます。
特に故人が登記名義人の不動産では、
相続人に送られてきた固定資産税の納税通知書で初めて共有状態の不動産の存在を知り、
事態を把握することがあります。

 

 

 

 

 

 

 

そこで、不動産の共有状態は一定の節目に、改めてその役割を考え直すことが必要です。
例えば、相続による共有で故人の登記名義を遺産分協議により特定の相続人名義にする時、
固定資産税の節税のための共有で共有名義のご夫婦が終活に取り組む時、
購入時の資金計画のための共有で住宅ローンの完済時、といったように、
共有者間で負担を分かち合う等の役割を果たしてこのまま続けていくのか、
それぞれ検討するべき時期があります。

令和5年度の税制改正では、生前贈与加算※1の期間は、相続の日から遡って3年間でしたが、
2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から3年~7年後に相続が生じる場合は徐々に延長され、
2031年(令和13年)以後に相続が生じる場合は7年間となります。
同加算対象の子などの相続人又は遺言で財産を取得する者へ贈与するか、
若しくはそれ以外の孫などに贈与するか、相続税対策を講じるのは令和5年が山場と言われています。

また、2024年(令和6年)4月1日施行の改正不動産登記法では、
相続人はその不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負うことになりました。
そして、正当な理由がなく放置していると10万円以下の過料が科される場合があります(相続登記の義務化)。
これは施行前に相続が発生している場合も義務化の対象です。

遺産分割協議がまとまらない場合もあるので、
相続人は不動産を誰に所有させるかの意思を、できるだけ早く明確にする必要があります※2

 

 

 

 

 

このように昨今は、役割を終えた共有状態を放置することは不利益となり、
持ち分の処分、引いては不動産の処分も検討する必要あります。

不動産の共有状態は、共有者それぞれのライフプランが反映されます。
みなさんの共有不動産が迷子(放置)にならない様に、一人一人の相続までを見据えたケア(運用設計)が大切です。

 

 

 

 

 

 

 

※1生前贈与加算:被相続人が生前に贈与した財産を相続税評価対象の財産に加算する。
相続人となる者等へ財産を生前に贈与することで、相続財産を減らせます。
これを続けた暦年の贈与税支払い総額を、生前贈与しない場合の相続税額より低くすることで相続税を節税できます。
但し、過渡な節税対策を防止する為、相続からさかのぼって一定の期間内に贈与した財産も、相続財産として加算されます。
(暦年に贈与税の支払いも必要です。)
一方で、今回の税制改正では、相続人精算課税制度(生前の贈与は相続財産に加算するが、
一定の非課税枠を超えた分に贈与税がかかる制度)において、令和6年1月1日以後の贈与に贈与税非課税枠2500万円の他、
110万円の基礎控除が新たに設けられました。
これにより、生前贈与加算がある暦年課税の贈与(110万円の基礎控除あり)と比べて、どう節税できるのか検討が必要です。

※2遺産分割協議が折り合わない、全ての相続人に関する資料が揃わない場合は、
とりあえず相続人の一人がその不動産に相続が生じたことの登記ができます(相続人申告登記)。
その場合、登記名義人が亡くなったこと、自らが相続人であることを申告することで足ります。
ただし、仮の登記なので登記名義人であることを主張できません。
遺産分割協議などが整って最終的に相続人が確定したときは、その日から3年以内に改めて相続登記を行う必要があります。

 

一般社団法人 京都府不動産コンサルティング協会 相談実務部会・相続実務部会
一般社団法人 京都府不動産コンサルティング協会 KRCA (krca.or.jp)(HP : https://www.krca.or.jp

小野博史 はまや住宅株式会社 HP:http://www.hamaya-j.jp

登録者一般社団法人 京都府不動産コンサルティング協会
最終更新日2023-01-26 17:18:52
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