令和7年9月6(土)実施 令和7年度すまいスクール「プロが教える! 外壁・屋根塗装工事の賢い進め方」 イベントレポート
住宅の外壁・屋根の塗り替え(塗装)はなぜ、いつ、必要になるのでしょうか?
大切なすまいを守っていくために、将来絶対必要!? なのに、詳しくわからない…
外壁や屋根に関する基礎知識、実際の塗装工事の流れや工法、塗料の種類、劣化を視るポイントなどを、具体的な事例や写真を用いて、プロの視点でわかりやすく解説していただきました!
1. 日 時:令和7年9月6日(土)午後2時00分から午後3時30分まで
2. 講 師:佐名田 一郎 氏(株式会社アイビ建築 代表取締役)
3. 会 場:ひと・まち交流館 京都 地下1階 ワークショップルーム1・2
4. 参加者:76人
5. 講座内容:
1.外壁・屋根の基本知識
現在の住宅の外壁材は、大きく「モルタル」と「サイディング」に分けられる。
・モルタル壁
セメントと砂、水を混ぜたものを金網(ラス網)の上に塗り重ねて仕上げる外壁。
職人の手仕事により好みのテクスチャをつけたりすることが可能だが、経年とともにひび割れやすい。
・サイディング壁
現在では最も一般的な外壁材で、デザインやバリエーションが豊富。
ただし、シーリング部分の劣化はある一定の時期を経ると必ず発生するため、メンテナンス時にはシーリングの打ち替えが重要。
屋根材は和瓦、平瓦、セメント系やガルバリウム鋼板などの金属系、アスファルト系があり、材質によって塗装の必要性や適切な塗料が異なるため、知識が必要。
瓦の場合は塗装は原則不要だが、割れ・ズレ・棟部分の点検やメンテナンスは必要となる。
ただし、セメント系瓦は塗装および塗り替えが必要なことが多い。
・金属
塗料が浸透しないため、金属専用の膜を作る塗料が用いられる。
・ガルバリウム鋼板
近年よく用いられ、軽量で錆に強く、葺き替えやカバー工法で採用されることが多い。
・セメント系のスレート
平成年間にもっとも用いられ、軽量で普及率が高い。
塗膜が劣化して水を吸い込みやすくなるため、定期的な塗装が必要となる。
2.なぜ塗り替えが必要?
塗装が劣化する主な原因は、紫外線や雨風、排気ガスといった外的要因であり、塗膜は人間で言うと「日焼け止めクリーム」のようなもの。
塗装は家を保護する「膜」(塗膜)として機能しており、劣化すると防水性が低下し、外壁材や下地に水が侵入し、腐食・膨れ・剥離といった不具合に繋がるため、定期的な塗り替えが必要となる。
塗料の機能は大きく二つに分けられる。
・造膜型
乾燥後に表面に膜を形成し、外部環境から守る。一般的な外壁はこちらが多い。
・浸透型(浸透・造膜型)
下地に浸透して素材自体を保護する。セメント系の屋根に対して使われることがある。
素材によって、造膜型塗料が適する場合と浸透型塗料が適する場合があるため、素材に応じた塗料の選定が必要。
・アクリル系:安価だが耐久性はやや低めであり、現在は主流ではない。
・ウレタン系:比較的柔らかく、中程度の耐久性。こちらも現在は主流ではない。
・シリコン系:近年よく用いられており、一般的かつ中から高耐久程度の塗料。万能型であるため流通量が多く、現在の主流である。
・ラジカル制御系:近年注目されている、紫外線等によって引き起こされる劣化(※ ラジカル生成)を抑制する添加剤が配合された高耐久な塗料。コストと耐久性のバランスが良い。
・フッ素系:高耐久だが価格は高め。
・熱反射(遮熱)塗料:屋根向けに表面温度を下げる効果をうたう製品がある(表面温度が数度下がる試算)。ただし効果は限定的で、長期的な冷却効果に関しては注意が必要。
・透明(クリア)塗料:顔料を含まないため、下地の保護力は色づき塗料に比べ劣る。下地の色を隠さないため、外観の変化を求めない場合に使う。
※ ラジカル生成:「ラジカル」は劣化因子という意味で、人間でいう「がん細胞」のようなものを指す。塗料に風雨などで供給される酸素、雨、紫外線などが配合され、「ラジカル」が発生する。このラジカルを制御するために、光安定剤や酸化チタンなどの添加物を配合したものがラジカル制御型の塗料である。
3.塗り替えどきはいつ?
塗料に関する劣化サインに関する知識があれば、塗り替え時期の判断を行うポイントとすることができる。
・ひび割れ(クラック):サイディング材には発生しないため、主にモルタル材に関して起こる、特に要注意な劣化。シーリングで補修可能なものもあるが、深刻な場合は下地補修や大がかりな補修が必要。窓周りや取り合い部(目地)の割れは特に発生しやすい。
・色あせ・チョーキング(白化):塗膜表面を指でなぞると、チョークのような粉が手につく。塗料が乾燥して粉状になっていることを示しており、保護機能の低下の症状の一つ。
・触って柔らかい/押すと戻る(下地の脆弱化):触診で柔らかさがあると下地劣化が進行している可能性がある。
・サイディングの継ぎ目(目地)の劣化:シーリングは機能していたら柔らかいため、押してみて固い場合は劣化している。シーリング部分はひび割れや剥離がよく起こり、雨漏りの原因となり得る。
・塗膜の剥がれ・膨れ:緊急の塗り替えが必要。
日本の建築は木造が主であるため、塗装の保護機能の劣化による雨漏り等は大きなダメージとなるため、最もよいのは家の様子を注視しつつ、劣化によって機能が失われる前にメンテナンスとして塗り替えを行うことである。
また、これらの症状に注意しつつ、すまいをメンテナンスしていくとなると、足場を組む必要性も生じるため、なるべく屋根と外壁の工事を同時にすることがコストダウンの要となる。
よって、講師の推奨案としては、10年超にて外壁と屋根、防水を塗替え、25年目でまた塗替え、35年超で葺き替えとするような、なるべくそれぞれの工事のタイミングを合わせていくことであった。
また、風雨や陽光によって劣化が進行するため、北面は劣化が進みにくく、南西面など日射が強い面の劣化が早いという体感があるため、自宅を診断する際は方角に注意をしてみるとよい。
4.塗装工事の流れ
塗装は「どれだけ丁寧に前処理を行うか」が品質を左右する。
以下は一般的にベストと考えられる流れである。
1.見積り依頼:現地調査にて寸法測定、劣化診断、色の選定相談など。
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2.見積り提出 :契約前に工期、色、仕様の確認をし、契約。
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3.足場設置と養生・飛散シート設置:安全確保のため金属足場を設置し、作業範囲の保護を行う。1日程度で終わる場合が多い。
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4.高圧洗浄:表面の汚れや古い塗膜の劣化部分を除去。洗浄後は充分な乾燥(半日〜1日程度)を取る。
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3.下地処理:特にサイディングの場合はシーリング補修が重要。古いシーリングを除去してプライマーを塗布し(接着促進)、新規シーリングを充填して押さえ仕上げ。シーリングは大変重要な工程で、この施工品質で防水性能が変わる。
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4.下塗り(プライマー剤) → 中塗り(塗料) → 上塗り(塗料) :基本は3回塗りで、塗膜の厚みを確保し、耐久性を高める。白系など隠蔽力の弱い色は特に複数回塗る。
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5.仕上げ・検査:タッチアップや不具合の修正。
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6.足場撤去・引き渡し:施工説明やアフターフォローの説明。
コロナ禍以降、材料費や仕入れ値、職人の人件費や足場代などが上昇の一途をたどっている。
その中で、明細が多く、工種ごとの単価や数量、塗装回数が詳細に書かれている見積書は信頼性が高いものと言えるのではないだろうか。
5.業者のタイプと特徴
・訪問販売系:営業が積極的に訪問して契約を取るので、営業担当の知識のレベルが問われる。相場より高額になりがちな傾向がある。
・塗り替え専門店:ショールームを持ち、自社で材料選定・施工管理を強く打ち出す形式が多い。材料仕入れや宣伝費にコストがかかるため金額に差が出るが、専門性が期待できる。
・大手チェーン:広告や価格競争で集客するため、価格は競争的だが、受注量を確保する必要があるため仕上がりや現場対応が千差万別。
・ハウスメーカー:ブランド力と保証が期待できるが、その分コストは高めになりがちなことがある。
・地域密着の工務店/地元業者:商圏が自社のある地域であるため慎重な仕事やきめ細かな対応を期待できる反面、一般に金額は中〜高めになる可能性がある。
自身に合う業者の探し方だが、日頃から付き合いのある工務店があれば第一候補に検討し、そういった店舗がなければ、登録制度(市区町村や公的な事業者登録)や公的窓口の認定業者を参照するのもおすすめである。
見積りは複数者で比較し、安さ重視なら複数取って、信頼重視なら面談で判断するとよい。
また、見積書は明細(数量・単価)も必ず確認し、不明点は契約前に質問することである。極端に安すぎる見積りは品質が確保されない可能性があるため、注意が必要である。
また、施工職人が自社職人か下請け中心なのか、職人のマナー・挨拶・時間厳守なども重要な評価ポイントとなる。
一説にはなるが、職人の仕上がりは「どこで仕事を終えるか、どこに作業のゴールを置くか」、いわゆる職人の“センス”と意識に左右されると考えられ、良い職人を確保している会社は信頼の指標になり得る。
また、保証や定期点検、依頼者の問い合わせへの迅速な対応等も業者選びの重要ポイントになると考える。

| 対象イベント | 【受付終了】すまいスクール「プロが教える! 外壁・屋根 塗装工事の賢い進め方」 |
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| 登録者 | 京安心すまいセンター |
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| 最終更新日 | 2026-02-14 10:06:28 |


