理事長として総会を開催したのですが、提案した議案に対して意見が多く、まとめるのに苦労しました。どのように総会を運営すればよかったのでしょうか。

区分所有者全員で共有する分譲マンション。多くの人が集まって住む集合住宅ならではのトラブルは様々で、京都市の住まいの相談窓口である京安心すまいセンターに寄せられる分譲マンション管理に関する相談のなかでも多い「マンション住民間の合意形成の問題」について考えてみましょう。※関連記事は、こちらから

さて、今回の悩みのように、総会で住民間の意見がまとまらない時には、理事長としてどのように運営すれば良いでしょうか。
多くの管理組合では、総会の内容(議題)を総会開催前の定められた期日に事前配布することが、管理規約に規定されていることが一般的です。一般の区分所有者(組合員)はその議案が配布された時点で初めて総会の内容を知ることになるので、突然の提案と感じることがあるのかもしれません。しかし提案側(理事会)の理事長をはじめとする理事は、時間をかけて検討した議案なので、突然の総会開催とは感じていないため組合員との間に認識のズレが生じているのではないでしょうか。そのため、組合員の議案に対する理解度が低く多くの質疑があったと思われます。

 

対策の例

総会の議案が組合員にとって重要度の高い内容である場合や、管理規約で定められた最短期間で議案書を事前に配布した場合は、総会での合意形成が難しくなることが予測されます。
総会での決議をスムーズに行うためには、一般の組合員に理事会が今どのような課題に取り組んでいるのか、その課題に対してどのような検討がなされ、総会で提案される議案に至ったのかというプロセスを課題の検討当初から一般組合員に説明会や広報で情報を公開し、理解と協力を得ながら合意形成を進めていくことが重要です。
特に、共用部分の大幅な変更、管理規約の改正、管理費・修繕積立金の値上げ等の重要な事項については、総会に提案する議案内容の精査も大切ですが、総会に至る合意形成のプロセスを事前に組合全体で共有し、その経過も含めて情報公開し、一般組合員から理解を得られるような組合運営が必要です。例えば、議案書を管理規約で定められた期間より前に配布するとか、議案書を配布する前に、提出予定議案についての詳細な説明会を開催するというような運営が考えられます。

 

トラブル解決の処方箋

1.管理組合への意見投稿ポストの設置

管理組合理事会への意見投稿ポストを設置することにより、一般組合員からの意見が日常的に理事会に伝わるようにします。管理組合としての回答を提出者に行うのが原則ですので、提出者には意見書に署名を求めます。匿名の意見書も理事会で審議するときの大切な情報となりますが、採用については理事会で慎重に検討してください。

 

2.理事会の議事録内容の広報

理事会で審議し決定した内容については、議事録として記録することが管理規約によって定められています。組合員であれば議事録の閲覧はできますので、議事録を公開することで、理事会で検討している課題や決めたことについて理解を深めてもらえる可能性が高くなります。
広報の方法ですが、議事録そのものは、個人の情報等が含まれている場合がありますので、そのまま配布することを避けるのが一般的です。議事録の要旨、概要をまとめた「理事会だより」というような形で定期的に広報するのもよいでしょう。
管理組合の合意形成の課題について組合員が理解を深めることができるような環境をつくることが理事会には求められます。

 

3.理事以外の区分所有者(組合員)の参加

理事会で総会議案を提案する場合は、理事だけでなく、管理組合の運営について経験や意見のある他の区分所有者(組合員)にも参加していただくことで、多くの組合員の意見が反映された提案内容とすることができ、合意形成がスムーズに進みます。
理事会だけでは、検討が難しい課題等について、専門委員会を設置する等、他の組合員に協力を求めてみましょう。

 

4.説明会及び意見交換会の開催

総会で審議する議案は専門委員会等の答申を理事会が受けて、審議を経た内容になっていますが、議案書を配布する前に区分所有者(組合員)向けの説明会や意見交換会等、組合員の意見を反映できる機会を設けることも、合意形成を行うプロセスの中で重要なポイントの一つです。

 

※ マンショントラブルの解決案についてより詳しい情報が欲しい方は、こちらから

 

登録者京安心すまいセンター
最終更新日2023-12-08 14:06:28
ページの先頭へ戻る

みやこ安心住まいセンター(安心安全の住まいづくりを応援!住まいのワンストップ総合窓口)

京都市住宅供給公社(安心のすまいを信頼とともに)

京都公営住宅ポータルサイト