分譲マンション管理計画認定に関するお金のおトクを試算してみました
管理状況の良いマンションとして、京都市からお墨付きをもらえる管理計画認定制度。認定に伴う管理組合さんのお金のおトクを試算してみました。
どんなおトクがある?
認定にまつわるお金の優遇については、大きく2つ。一つが、固定資産税の減税で「マンション長寿命化促進税制」と呼ばれるものです。もう一つが住宅金融支援機構の金利・利率の優遇で、修繕積立金の積立で利用する「マンションすまい・る債」、大規模修繕費用などの借入の「マンション共用部分リフォーム融資」、マンションを購入する際の「フラット35」があります。
ここでは、「マンションすまい・る債」と「マンション長寿命化促進税制」、番外編として「フラット35」のおトクについて試算してみました。
「マンションすまい・る債」の試算
「マンションすまい・る債」は、修繕積立金の積立のための利付10年債です。単年での利用も可能ですが、10年間にわたり継続購入することもできます。
おトクポイント! 利率がアップ!
2024年度の通常の10年満期時年平均利率は0.500%ですが、認定マンションでは0.550%で、0.05%のアップとなっています。マンションすまい・る債のご案内別添チラシによると、1口(50万円)当たりの10年間の利息の合計は次のとおり。
税引前 | 税引後 | ||
通常 | 0.500% | 25,000円 | 21,176円 |
認定 | 0.550% | 27,500円 | 23,295円 |
差額 | 2,500円 | 2,119円 |
では、試算してみましょう。
試算
事例:175戸 修繕積立金:17,000円/月・戸 の場合
17,000円/月・戸×175戸×12カ月=3,570万円/年
3,570万円÷50万円 → 71口 購入した場合、10年後の利息のおトク分は
2,119円×71口=150,449円→約15万円
さらに、10年間分継続購入すると(仮に今後10年間同じ利率として)
約15万円×10年=約150万円 (※)。
※ただし、10年目に購入した債券が満期を迎えるのは初回購入から19年後
修繕積立金は、マンション全体では大きな額になるので、利上げの効果も大きいようです。
実際、「マンションすまい・る債」の2024年度の募集結果を見ると、全応募額1,026億円のうち、2割を超す227億円が認定マンションの応募となっています。管理組合数でみると、全応募額3,592管理組合のうち393管理組合が認定マンションです。令和6年10月末時点の全国の認定件数が約1,400件であることからも、多くの認定マンションが「マンションすまい・る債」を利用していることが分かります。
「マンションすまい・る債」の詳細は ▶▶ マンションすまい・る債:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
マンション長寿命化促進税制
マンションの良好な維持修繕を促進するための、固定資産税の減税制度です。
適用要件
- 管理計画認定マンションであること
- 令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を認定基準未満から認定基準以上に引き上げた場合のみ対象
- 築20年以上かつ10戸以上
- 過去に1回以上長寿命化工事(※)を行っていること
- 令和5年4月1日~令和7年3月31日の間に2回目以降の長寿命化工事を完了していること
※屋根防水工事、床防水工事及び外壁塗装等工事の事で、大規模修繕工事が想定されます。
おトクポイント!
各区分所有者が、長寿命化工事の翌年度に支払う固定資産税(建物部分のみ)の1/2を減額(ただし、1戸当たり100㎡相当分まで)
試算
事例:175戸 固定資産税(建物部分):仮に…66,000円(各戸平均) 専有面積:約70㎡/戸 の場合
66,000円×1/2=33,000円(各戸)
33,000円×175戸=5,775,000円(管理組合全体)の減額となります。ただし、修繕積立金を50円/㎡・月値上げしたとすると
50円/㎡・月×70㎡×12カ月=42,000円/年(各戸) の値上げ となります。
戸当たりでみると、あまりおトク感はありませんが、管理組合全体でみると、大きな減額となることが分かります。
ただし、試算にもあるように、この減税制度を適用するためには、大前提として修繕積立金の額を認定基準未満から認定基準以上に引き上げた場合のみが対象となるため、値上げ分を1年だけ助けてくれる制度と考えるのがよいかもしれません。
とはいえ、残念ながら、この制度は令和7年3月31日までに対象の長寿命化工事を完了していることが要件となっています。制度が今後も継続されることを願うばかりです。
「マンション長寿命化促進税制」の詳細は ▶▶ マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置) – 国土交通省
番外編:フラット35の試算
認定マンションを購入する側のおトクになりますが、「買ってもらえる」マンションであることは、管理組合にとって大きなメリットです。番外編として、試算してみましょう。
認定マンションによる優遇は、「【フラット35】維持保全型」に基づきます。
おトクポイント! 当初5年間の金利引下げ!
令和7年3月31日までの申込分は年▲0.25%
試算
事例:借入額2,000万円 の場合
住宅金融支援機構のローンシミュレーションで【フラット35】引下げ内容確認から試算してみました。
(条件)
融資率9割以下、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.86%の場合
通常:月々返済額 6.5万円 総返済額 2,723万円
認定:当初5年 月々返済額 6.3万円 残り30年 月々返済額 6.5万円 総返済額2,696万円
総返済額の差額:27万円
総返済額が安くなるのもありがたいですが、月々の返済額が下がるのもメリットです。
さらに、フラット35には、維持保全型以外にも金利を引下げる制度があります。
例えば、京都安心すまい応援金(未就学児をお持ちの世帯が中古住宅を購入しリフォームして住む場合の応援金)を利用する場合、【フラット35】地域連携型(子育て支援)で▲0.5%(当初5年間)。さらに、子供2人であれば【フラット35】子育てプラスで▲0.5%(当初5年間)の金利引き下げになります。
【フラット35】維持保全型の詳細は ▶▶ 【フラット35】維持保全型
京都安心すまい応援金の詳細は ▼▼
まとめ
いかがでしたか。お金に関するおトクは認定取得メリットの一つの要素にすぎませんが、これを機会にご自身のマンションでも一度試算してみてはいかがでしょうか。
修繕積立金を計画的に積み立てて、管理の良い長持ちマンションを目指しましょう。
登録者 | 京安心すまいセンター |
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最終更新日 | 2025-01-10 15:14:44 |