2025年2月22日 分譲マンション管理セミナー \初心者向け/ 管理状況をチェックしてみませんか
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日時:令和7年2月22日(土)pm1:30~pm3:30
会場:ひと・まち交流館京都 地下1階 ワークショップルーム 参加者:85名 |
コーディネーター:京都美術工芸大学 教授 生川慶一郎 氏
プログラム① 昨今のマンション管理事情を知る
プログラム② マンション管理向上の効果を知る
プログラム③ 総会資料などを使った管理状況のチェック
プログラム① 昨今のマンション管理事情を知る(京都市都市計画局住宅室住宅政策課)
分譲マンションは今や生活に欠かせない居住形態である。しかし、分譲マンションを巡っては「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」の「2つの老い」が進行しており、役員のなり手不足や修繕積立金不足などが発生すると、管理そのものが困難となってくる。
老朽化については高経年だけが問題というわけではい。早いものでは築20年を超えた頃から老朽化の兆候が見られた。また、小規模マンションほど老朽化が進行しているようだ。
管理が適正に行われていないとどうなるか。老朽化し危険な状態のマンションを行政が解体した事例があるが、解体費用は区分所有者に請求されることになる。最終的には区分所有者の皆さんが責任を持たなければならない。
マンション管理の難しさは、区分所有という特殊性な所有形態に起因する。異なった意識や価値観、経済力を持つ区分所有者の間で合意形成や意思決定を行うことは非常に難しい。また、管理のプロセスには専門知識が必要なため、管理会社やマンション管理士に業務委託をすることが多いが、任せきりにしないことが重要。
国ではマンション関連3法(区分所有法、マンション管理適正化法、マンション建替円滑化法)の改正が予定されている。改正には、管理や再生の疎外となりうる所在不明者を母数から除外する等の、決議要件の緩和等が盛り込まれている。
京都市では令和4年9月より管理計画認定制度を開始し、今日現在で65件が認定されている。認定率(認定件数/マンション総数)で見ると全国トップレベルであり、京都市の管理組合の意識の高さの結果と思っている。この制度の一番のメリットは、認定基準という物差しを使って自分たちのマンションの管理状況を客観的に見直せることと考えている。
管理状況を知ることで管理計画が良いものとなり、マンションの資産価値が向上につなげてほしい。
プログラム② マンション管理向上の効果を知る(京都美術工芸大学 教授 生川慶一郎 氏)
高経年マンションが増加している。マンションを一日でも長く使っていくには、買い手に良い管理状況の情報を届けることが大切。今日は市場から見た管理状況についてお話しする。
まず、京都市の近年の分譲マンション建設は、まちなかでの建設が多くなってきているが、住戸数では大規模マンションの多い郊外で数が多くなっている。
次に、マンションストックの流通に関する分析(※)について。築年数で見ると築40年前後での取引が多く、価格では700~800万円ついで1,200~1,300万円が多い。郊外の築年数別の平均坪単価を見ると、おおむね60万円程度で推移し築50年以降で一度下降、その後上昇に転じている。築年数が経過しても一概に市場価値は下がらないことが分かる。
市場規模も大きく拡大している。良好な管理のマンションを若者世代が適正価格で入手できるようになると、京都の有用な資産となっていく。
ここからは、伏見区の状況について。伏見区は、地価上昇のマンション価格への影響がまちなかに比べ少なく、マンションの価値の向上が価格に表れやすい。
取引価格・取引件数ともに築40年頃に減少しているが、それ以降部分的に上昇している部分がある。これらは個別の人気マンションの取引が要因ではないかと推察している。築40年をうまく乗り越えられたマンションが市場で評価されるということが起こっているのではないか。
また、2007年の新景観政策後には取引件数が一気に増えている。新景観政策により既存マンションの長寿命化が命題となり、京都のマンション市場はストックにシフトしていることを知っておいてほしい。
築50年以上の物件では、不動産会社が買取りしリフォーム・再販する改修再販により、価格が上昇していると考えられる。良い管理によりマンションが生まれ変わっていると言えるのでは。この流れに乗ることで築50年の節目も乗り越えていけるのではないかと考えられる。40年の節目も50年の節目も、乗り越えるには管理が大切。
修繕履歴が流通市場に与える影響について。個別物件の修繕工事履歴と取引状況を見ると、グレードアップや美観の改修により取引件数や価格が上昇するという傾向が見られた。一方で、給排水等の目に見えない修繕は市場には反映されていない。目には見えない重要な管理情報なども消費者に伝えていかなければならない。
適正な管理のマンションでは、様々な人々が様々な取組をされており、簡単にパターン化することはできない。そのため、個々のマンションの取組みを情報として発信する仕組みがあるとよいのではないか。良いマンションの事例を、できるところから取り入れていっていただきたい。
分譲マンションは一日でも長く大切に使っていくことが大切。本日のセミナーをきっかけに、自分たちの管理状況の状況がどうなっているのかをチェックしてほしい。
※Reon不動産検索ネットワーク(約30年のチラシ等の掲載データを記録したもの)から、京都市内の分譲マンションのうち2020年時点で築40年以上の高経年マンション314物件について1988年以降の取引状況を取得。
まちなか(上京区・中京区・下京区)、まちなか周縁(東山区・右京区・左京区)、郊外(伏見区・山科区・南区・北区・西京区)の3区分で分析。
プログラム③ 総会資料などを使った管理状況のチェック(一般社団法人 京都府マンション管理士会)
分譲マンションを所有すると必ず管理組合員にならなければならない。管理を管理会社に委
託している分譲マンションがほとんどだが、最終的には管理組合が責任を持たなければならないことを自覚してほしい。
まず総会資料では、事業報告や決算報告で事業の実施状況や予算通りの執行等、さらに区分経理、滞納の確認等を行う。議案には管理規約の改正、長期修繕計画の改正、認定申請等の決議が必要な議案が並ぶ。その後、次期の事業計画や予算案などを確認し、役員選任では選任方法が規約通りとなっているかなどを確認する。なお、分譲マンションの総会では緊急動議は一切認められない。
次に、管理規約について。各分譲マンションには管理規約があり、その指針として国が標準管理規約を出している。これまで何度か改定されているが、平成28年度の大幅改正に対応していなければ認定は取れない。作成当初のまま改正されていない分譲マンションも多いため一度確認してみてほしい。別表第一、別表第二を持ってマンション見学ツアーをするのもよい。管理規約では、緊急時の立ち入りに関する条項や管理費・修繕積立金に関する条項、修繕履歴の管理に関する条項などを確認。また、情報開示に関する条項も確認する。管理状況を情報開示していけるよう、しっかりと管理してほしいと思う。
長期修繕計画について。まず、計画の作成が7年以内である事を確認する。物価上昇や工事方法の変化により古い長期修繕計画はあまり意味がない。長期修繕計画は将来の修繕計画であり、戸建て住宅と違い予防保全の考え方。ただし、計画通り必ず工事を行うということではなく、工事の実施には調査等を行う。また、大きな工事の時期を前もって組合員と共有する意味もある。積立方式には均等積立方式と段階増額積立方式があるが、段階増額積立方式では計画通り値上げが実現しないことも多いのが問題。その他、次期繰越金の赤字の状況等も確認しておく。
組合員名簿、居住者名簿も大切。個人情報の関係で作成が難しいのは分かるが、災害時の安否確認には絶対必要となる。
分譲マンションは管理にお金はかかるが、良好な管理とコミュニティ形成により、夏は涼しく冬はあったか、地震に強く防犯面も安心な住みやすい住居となる。ぜひ、マンションの管理に興味を持ち、快適なマンション生活を送っていただきたい。
「総会資料などを使った管理状況のチェック」の内容については、京都府マンション管理士会のコラムで詳しく紹介されています!
分譲マンション管理支援制度のご紹介
分所マンション管理に関する支援制度を紹介した。
1 管理計画認定事前チェックサービス
2 京都市分譲マンション管理アドバイザー派遣制度
3 一般社団法人京都府マンション管理士会 無料相談
4 一般相談・専門相談
5 分譲マンション管理組合向けSNS:フェイスブック、X(エックス)
まとめ
本日は、京都市のマンションの現状や不動産市場からの視点、管理状況のチェックの具体的方法など盛りだくさんな内容だった。初心者向けのため、ご存じの内容も沢山あったかもしれないが、基礎の基礎をしっかりしておくことは大切。本日聞いた話を持ち帰り、役員の皆さんなどで資料を突き合わせて議論することで、知識も定着していく。ぜひ実践してみていただければと思う。
| 対象イベント | 【2月22日(土)開催】分譲マンション管理セミナー \初心者向け/ 管理状況をチェックしてみませんか |
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| 登録者 | 京安心すまいセンター |
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| 最終更新日 | 2025-03-28 13:42:28 |



