よい家づくりをお手伝いする、知っておきたい建築士の仕事

戦後、家づくりにも工業化の波が押し寄せ、住宅の新築等を検討するときには、住宅展示場で気に入ったハウスメーカーを選ぶという流れが定着しましたが、最近では、若い世代を中心に、自分のライフスタイルや価値観に合せた家づくりができる「デザイナーズハウス」が注目されています。

注文住宅は、自分の希望や予算に合わせて、また、敷地の広さや形状に合わせたオリジナリティのある、自由な家づくりができることが魅力です。

ハウスメーカーでは、ブランド力(りょく)を活かして、基本的な性能と品質を備えた住宅を、あらかじめ用意されたメニューから選び、部分的にカスタマイズすることで、希望の家づくりをすることができます。モデルハウスを見学できるので、イメージがしやすく大きな失敗がありません。また、各メニューの価格が表示されており、工事価格の決定も比較的スムーズに行えます。

では、自分のこだわりで、もっと自由に建てたい人たちは、どうすればよいのでしょうか。

家は誰が建てるのか…

日本の家は、基本的に木造が多く、大工が建てるケースがほとんどです。

一般的に、新築住宅等を工事する業者は「工務店」とイメージする人が多いのではないでしょうか。

実際には、住宅を新築等する場合、必要な手続き等がたくさんあり、工務店だけではなく、様々な会社や専門業者が関わっています。その中でも、極めて重要な役割をするのが「建築士事務所」と、そこに所属する「建築士」です。

1 設計図面をつくる

家づくりで重要なことは、どんな住宅を、どんな性能と品質でつくるのか、詳細に設計した図面をつくることです。

建築基準法には、皆さんが、安全に、健康で、快適な生活が営めるように建物の最低基準が定められ、その建築基準法に適合した建物の建築計画をたて、設計図面を作成し、建築確認申請を行えるのは、建築士事務所に所属している建築士だけなのです。

工務店は、建築確認に適合した図面をもとに工事をします。一部の工務店では、建築士事務所を併設し、自社の建築士が関与する場合もありますが、いずれにしても「建築士」の存在は欠かせません。

※建築物の計画、設計等を業として担えるのは、建築士事務所に所属する建築士に限ります。また、建築確認申請の手続きが不要な住宅のリフォーム等でも建築基準法は守らなければならず、図面作成し、専門家のチェックを受けることが重要です。

2 工事価格を決定する

家づくり資金の計画ができなければ、家を建てることはできません。

工務店に住宅の新築工事等を見積依頼する際、詳細な設計図面があれば、どのような家を建てたいのか相手に明確に伝わり、誤認や誤解によるトラブルも少なくなるでしょう。また、同じ条件で、複数の工務店から相見積もりを取り、比較検討することも容易になります。

見積書をみれば、現場調査費用、工事費用、その他必要経費等、全体的な工事に係る金額がどのくらい必要であるのか確認できますが、一般の方は、建築専門知識はなく、住宅業界の最新情報などに精通しているわけではないため、その見積書に記載された項目と価格が適正であるのか、必要な工事内容が盛り込まれているのか等、正しい判断ができているのか疑問です。

建築士は、作成した設計図面をもとに、概算の工事費用を算定し、予算に合わせた設計の調整を行い、皆さんに代わって、工務店等から提出された見積書を細かくチェックし、適正な内容であるか確認します。

工事価格や内容などを整理して、工務店選びのお手伝いをすることも建築士の仕事です。

3 工事(請負)契約をする

工務店の決定は皆さんが行います。

工事価格が一番安い見積書を提出した工務店と契約したらよい…と考えられるほど、簡単ではなく、このように工務店を決定した場合には失敗する可能性が大きいのです。

新築工事のトラブルでは、何かしら家の形が見える状態になったときや、完成間近になって家を確認できるようになったときに、問題が発覚することが多く、契約の内容や範囲に齟齬があることもしばしば。

建築士は、皆さんと工務店が契約する際に立会いし、契約に必要な書類が交わされているか確認します。

<契約に必要な書類> ●工事請負契約書 ●工事見積書 ●工程表 ●設計図面等

その他、工務店が行う住宅瑕疵担保責任保険の手続きや、工事後の品質保証の内容などを確認し、皆さんをサポートしてくれます。

また、工事が始まれば、工程表にそって、主要な部分ごとに現場で立会いや検査を行い、設計図面どおりに工事が行われているか、住宅の品質に問題ないかなど確認し、皆さんへ工事状況を報告することも建築士の仕事です。

夢のマイホーム!まもなく完成というところで問題が発覚?!とならないために…

今回のコラムは、「すまいを建てる」ことについて「建築士の仕事」をご紹介しましたが、「すまいをリフォームする」際にも同じような流れで、工事業者の選定が可能です。

家づくりの費用を節約するために、「建築士」に依頼するという選択肢をはじめから除くのではなく、建築士の仕事を正しく知って、よい家づくりを一緒にしてくれる建築士を探すことも、安心で快適な家を建てる方法の一つです。

「イメージどおりになっていない」、「追加工事が嵩んで予算をオーバーしてしまった」、「変更を伝えたのに違うものが取り付いている」など、家づくりで大きな失敗をしないために、ぜひ参考にされてはいかがでしょうか。

よい家づくりをサポート。建築士の仕事をわかりやすくご紹介!!

引用:一般社団法人日本建築士事務所協会連合会ホームページ -建築士(建築士事務所)の仕事とは-
http://www.njr.or.jp/general/icas_kenchikushijimusyonoshigoto.pdf

京都府事務所協会ホームページ -建築をお考えの方へ-
https://www.kyoto-kenchiku.com/building/

もっと知りたい基礎知識

本ホームページ『京すまいの情報ひろば』では様々な住まいに関する情報を発信しています。
その他、関連情報を下記ページからご覧ください。

[すまいの学び] ~すまいを建てる~
https://miyakoanshinsumai.com/knowledge/?mokuteki=tateru

[すまいの学び] ~すまいをリフォームする~
https://miyakoanshinsumai.com/knowledge/?mokuteki=reform

こちらもあわせてご覧ください。

※過去に京安心すまいセンターが実施した「すまいスクール」の内容です。
講義のポイントをまとめて掲載しています。

‣ 2016年11月13日 トラブル事例に学ぶ安心・安全な家づくり、建築士と弁護士が教えます!

※下記の[すまいづくりコラム]では、リフォーム工事を検討、実施する方に参考になる情報を掲載しています。

 

登録者京安心すまいセンター
最終更新日2022-12-12 16:16:16
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