【連載】京都 Real Voice

京都 Real Voiceでは、京都市内各地に暮らしている方々へのインタビューを通じて、そこに暮らしているからこそ語れる地域それぞれの魅力を探ります。第1回は、京都市のまちづくりアドバイザーとして活躍されている、滋賀県出身のYさん(30代、男性)に居住中の右京区太秦についてインタビューしました。

第1回 右京区太秦 

古き良き『京都の学生文化』にあこがれ京都の大学に進学、

そして京都に住み続ける理由

 

Q 憧れた京都での大学生活は、いかがでしたか。

立命館大学(北区)に進学したのですが、しばらくは実家の滋賀から片道1時間半かけて通学をしていました。ずっと京都で下宿してみたいな、と思っていたのですが、ある時賃貸サイトを見ていたら、有名な建築家が若い頃に設計したマンション物件(JR円町駅近く)が安くあって、そこに住むことにしました。

その後、大学院に進学する時に引っ越しをしましたが、その物件も面白く、大正15年に建てられた不動産屋の物件情報に掲載されない、京大の吉田寮のようなレトロな物件でした。物件を知ったのも、Youtubeでしたね。そこに住んでいる人がアップしていたアパートの動画が古き良き「京都の大学生」(お金はないが学問に燃え、友達と議論を交わす)の住まいという感じで、どこにあるかわからないけど、ずっとここもいつか住みたいな、と滋賀にいる時からと思っていました。

それが、実は通う大学院(北区)のすぐ近くにあって、しかも偶然友人が住んでいるのがわかってびっくりしました。友人の紹介で引っ越すことができました。建物は、古くからの大地主である大家さんの家の敷地の一角にあり、「若い人たちがここから育っていくように」という大家さんの願いで、家賃は今でも1万4千円です。当時、食えない劇団員や自分のような大学院生が住んでいて、古き良き大学の貧乏学生の溜まり場のような感じでした。共同シャワー、共同台所、薄い壁の、いわゆる「シェアハウス」のようなもので、下の住人のいびきが聞こえる建物でしたが、きれいなピアノの音も聞こえる文化的なところでした。居住者同士も仲が良く、引っ越してきた人がいたらパーティーをしたり、みんなで一緒に旅行に行くほどの関係でした。

 

Q 太秦に居住するまでの経緯と理由は。

大学院に入り、北区に住んで研究する傍ら、右京区を拠点にして地域活性化活動にも参加していました。その時、右京区にたくさん知り合いができたんですね。

一方で、大学院を修了し、結婚したあと、しばらく妻の職場の近くに住むため中京区の二条駅近くの築浅マンション(2DK)に引っ越しました。二人で住む分には便利で申し分なかったのですが、2年ほど住んだときに子どもができて、今よりも広い家に住みたくなり、ちょうど更新時期だったので引っ越しを検討しました。地域にこだわらず、その当時の家と同じくらいの家賃でより広いところを探した結果、偶然にも右京区で、しかも知り合いのたくさんいる太秦の物件がたくさんヒットしたんですね。ヒットした物件のうち、いまと同じ家賃でも広いこと、建物の好み、周辺環境、内見した時の感じなどで昨年10月に太秦の賃貸マンション(2LDK)に引っ越ししました。

家賃の安い大津市も検討したのですが、京都から離れると、これまでお世話になった方々との関係が弱まると思い、とても惜しく感じました。さまざまなことを教えてくれた地域の方、またこれから京都で学ぶ学生さんに何か恩返ししたいと思い、京都に残ることにしました。ずっと活動してきた右京区の住民に、やっとなれた感じです。

九州出身の妻も、大学進学をきっかけに学生時代に右京区に住んだのですが、地域の方々にたくさん可愛がってもらって、就職後も京都に残りました。今では子どもと3人でかつて学んだ地で楽しく住んでいます。

 

Q 住んでみての地域の魅力は。

太秦は、生活しやすい観光地だと思います。近くに嵐山など観光地が多いですが、生活施設が溶け込んでいる感じです。世界遺産と観光地が身近にありながら、JR、嵐電、バス停など、ちょっと歩いたら駅があって、周辺に子育て世帯が多いので、スーパーなど、買物施設がたくさんあります。また、古代から続く地名が町名や駅名で残っていて、タイムスリップしたような独特な雰囲気があり、歴史を知っていれば、とても面白いまちです。

それから、この地域の魅力と言えば、人ですね。人がすごく濃く、面白くて、地域のことが好きで、地域のための色んな活動をされています。右京区の企業や個人がお金を出して右京のまちづくり活動を支援する「右京ファンクラブ」もあります。

また、右京区には大学が7つもあるので、地域と学生のバランスがちょうど良いですね。学生さんが地域まちづくり活動に自然と参加しています。住民の方も、学生と一緒に活動すれば面白いことが出来ることをご存じですので、一緒に何かをする雰囲気が作られています。常に学生さんの新しいアイデアや意見が聞けるので、地域の風通しの良さにつながり、それが住みやすい雰囲気を作っていると思います。

また、この地域には、住民と交流できる職場と家庭以外の「第三の場所」が多いです。小さい飲み屋さんなどの地元のお店は、地域の常連さんも多いですが学生にもやさしいので、若者や新しく住み始めた学生も気軽に行ける雰囲気です。

また、この地域でしかできないことですが、「映画の街」太秦にはたくさんの撮影所があり、芸能人の行きつけの店が周りにたくさんあります。そういうお店を巡るのも楽しいですね。映画関係者や大物俳優が打ち上げで来る場合もあるので、芸能人の隣に座って一緒にお酒を飲む、みたいなことも時々あります。さらに撮影所周りでは、赤ちゃんモデルやエキストラの募集があったり、ロケ場所となるお店もあるので、映画が好きな方にはとても楽しいまちです。

 

 

*写真:(左)東映太秦撮影所 (右)大映通り商店街の夏祭り

 

Q この地域のお気に入りの場所を教えてください。

家の周辺ですね。週末は、嵐山に遊びに行ったり、夜は、太秦大映通り商店街の銭湯に行って、その後知り合いのいるたまり場でお酒を飲みわいわいと楽しんで帰ります。特に、桜の季節は、嵐電のさくらのトンネルがきれいで、夏にはいつも「愛宕古道街道灯し」に行きます。東映太秦映画村も楽しいですね。

*写真:愛宕古道街道灯し

 

Q 京都に来た学生たちが京都に定着しやすい環境をつくるためには。

学生が京都に下宿しやすい環境を作り、京都の生活の雰囲気を感じ、経験する機会づくりを支援したらどうかと思います。京都には面白い人が多いので、下宿して多くの時間を過ごせるようになり、地域に絡んで面白い人に出会っていくと、私のように京都に残る人も増えるかもしれません。私も、篤志家の大家さんが用意してくれた1万4千円という安い家賃で住める場所があったため住み続けることができ、知り合いもたくさん出来て、京都を離れたくなくなったと思います。

そのため、若者が京都に定着するためには、若者や若年夫婦世帯向けの制度的な支援があればいいのではないでしょうか。私自身も、今は多少家賃が高くても豊かな人間関係があるため京都で定住していますが、経済的な状況が変われば、家賃の安い他自治体を選ばざるを得ないかもしれません。京都に住みたい若者への支援が厚くなることで、京都で就職して、結婚し、子育てに繋がれば、とてもうれしいです。

 

※1 まちづくりアドバイザー:京都市文化市民局地域自治推進室に所属するまちづくり支援を専門とする職員。まちづくりに関する専門的な観点から、区役所・支所の職員とともに、区民の皆様の自主的な活動を支援し、「まちづくり事業」全般の企画,運営への助言等を行っている。

※2 愛宕古道街道灯し:奥嵯峨の古き良き街並みを、行灯のほのかな明かりで演出するお祭り。いまから二十年ほど前。化野念仏寺千灯供養への来訪者を迎え入れるため、地域の地蔵盆を盛り上げるため、古い町並みが残る街道沿いに、手作りの小さな行灯の灯りを点したのがはじまり。この灯りは年々大きくなり、子供からお年寄りまで多くの方とつくる行灯が、いまでは大小800基ほど灯るお祭りになった 。(出典:https://atago.work/

 

(取材:京安心すまいセンター)

登録者京安心すまいセンター
最終更新日2022-07-21 17:31:00
ページの先頭へ戻る

みやこ安心住まいセンター(安心安全の住まいづくりを応援!住まいのワンストップ総合窓口)

京都市住宅供給公社(安心のすまいを信頼とともに)

京都市すこやか住宅ネット