【連載】京都 Real Voice~東山区今熊野&泉涌寺

第5回 東山区今熊野&泉涌寺 

 

京都real voiceでは、京都市内各地に暮らしている方々へのインタビューを通じて、そこに暮らしているからこそ語れる地域それぞれの魅力を深掘ります。第5回は、東山区泉涌寺にお住まいの小原亜紗子さんにインタビューをしました。小原さんは、東山区まちじゅう図書館プロジェクトの発足メンバーでもあり、本を通じて人々のつながりを作れたらと活動されています。地域に根付いた暮らしをしていきたいと願う小原さんから東山区の魅力についてお話を伺いました。

町じゅうに図書館があり、下町情緒があふれるまち

Q 東山区に引っ越しした経緯は。

東山区に住み始めたのは、2017年3月からです。以前は、左京区岡崎の長屋に住んでいましたが、家が手狭になってきたのもあり、妊娠を機に住み替えを決心しました。色々と新居を探す中で、たまたま東山区泉涌寺付近に新築が建つという情報を見つけ、引っ越すことにしました。私が生まれ育ったのは伏見区ですが、幼少期は東山区内の幼稚園に通っていたので、何となくこの地域には馴染みがありました。その時の記憶では、泉涌寺の坂を下りたところにある商店街も盛えていて、揚げたてのコロッケのお店があったり、文具店があったりと、とても良いイメージだったので、すぐに引っ越しを決めましたね。

 

Q 東山区まちじゅう図書館プロジェクトについて

2020年5月に東山区まちじゅう図書館プロジェクトを泉涌寺付近に住んでいる方3人と始めました。ちょうどその当時、2歳児と0歳児を抱えながら、フリーランスとして仕事をしていました。仕事と育児に追われ、さらにコロナでどこにもいけず、本当に大変な日々でした。また本が好きだった上の子が図書館に行きたくてもいけず、保育園でも感染拡大防止の観点から絵本が借りられず、時間つぶしにとにかく毎日近所の散歩ばかりをしていました。そんなときに同じ悩みを抱えていたママ友と絵本を交換したり、家の向かいに住んでいる方が、ご自身のお子さんやお孫さんに読み聞かせていた古い絵本を貸してくださったりと支えていただきました。こんな風に、この地域で支えてもらった有難さを私だけ味わうのはもったいない、もし本の貸し借りを、散歩を兼ねた“図書館めぐり”という形でできたら、自粛期間もより楽しく過ごせるのではと思い、二人に声をかけて実行委員会を立ち上げました。図書館と言っても、家やお店の前に小さな図書箱を置いて、自由に貸す、借りる、返すタイミングもお任せ、という感じです。スタートするにあたっては、東山区のまちづくり支援事業に応募し、図書箱の材料費、パンフレットの作成費の補助をもらって、最初は発足メンバーの家の前の3カ所から始めました。

 

 

 

2021年には、私が不動産業を始めるにあたり、今熊野の2階建て空き家を購入して、1階には事務所、2階にはプロジェクトの旗艦店的役割を担うルーミー図書館を開設しました。また最近は、SNSを通じて近所の商店街の方と知り合うことができ、商店街近くのカフェの玄関先にも図書箱が設置されるなど、少しずつ広がりを見せています。現在東山区には、7カ所の私設図書館があります。いずれは東山区全体が図書館になったら良いですね。図書館を利用するのは、この周辺に住んでいる未就学児の親子が多いです。ルーミー図書館も親子連れが多く、ここでは軽食や授乳もOKです。

 

   

 

 

Q 東山区の魅力は。

東山区には、山もあって、川も駅も近い。自然と便利さが共存している場所だと思います。北には祇園があり、美味しいお店、高級料理店などがあり、真ん中あたりの五条界隈は、清水寺をはじめとした有名な寺社仏閣があって、京焼・清水焼のお店がたくさんあります。そして私が住む南部の今熊野や東福寺は住宅街で、下町の良さがすごく残っています。私の仕事場兼ルーミー図書館のある今熊野や泉涌寺は、意外と子どもが多くて、小学生の元気な声が聞こえるまちです。泉涌寺の周辺は、大きい窯元の跡地に新しい家が3軒、4軒建ち、人がどんどん入ってきています。いわゆる子育て層の人が増えていて、実感としては子どもが増えている気がします。また、子育て層にも優しいまちです。私が引っ越してきた時からそうですが、日頃から子育てを応援してくれる方が多く、挨拶も盛んです。また東山区役所のはぐくみ室は手厚く、民生委員の方もすごく優しくて、下町の温かさを感じます。

 

   

 

そして、モノづくりや手仕事が盛んだったまちなので、やろうと思ったことが出来る環境、受け入れてくれる風土があります。その一例として、このコロナ禍に泉涌寺に新しく駄菓子屋さんが出来ました。仕事を定年でリタイアした60代の女性が自宅の玄関の前をちょっとだけ改修して駄菓子屋さんを始めました。駄菓子屋さんときくと昭和生まれの私にはとても懐かしいものですが、子どもの目にはとても新鮮でキラキラして見えたようです。週末にたまに子どもを連れて行きますが、すごく喜んでいますね。あと、東山には路地もたくさんありますね。路地で自転車を練習したり、ボールを蹴って遊ぶ子どもの姿もよく見かけます。そしてどこに繋がるだろうとワクワクする階段や坂があって、まち歩きをしても楽しいまちです。

 

       

 

Q 今熊野、泉涌寺で一番お気に入りの場所は。

「悲田院」というところがあります。泉涌寺の塔頭の1つで、境内からは京都タワーや西山も北山も見渡せる気持ちいい場所です。コロナの自粛期間にはよくそこに行って子どもたちとおにぎりを食べました。また子どもたちは、泉涌寺と悲田院をつなぐ小道をトトロの道と呼んでいます。子どもの言うとおり、ここを歩いているとトトロが出てきそうです。

 

   

 

Q 今後の居住意向と不動産業としての活動について。

一人の居住者として、ずっとここに住みたいです。そして不動産業に関わる者としては、京都に移住を希望する方への具体的な箱づくりをしたいです。どこかで“不動産屋は、まちの人事課”という話を聞いたことがあります。私は、別の仕事で、京都に移住を希望される方の相談窓口を担っていますが、東山区には東山区ならではの魅力に共感し、まちを盛り上げてくれるとか、地域に力を貸してくれそうな人は特に住んでいただきたいですね。そのためにはやはり移住者の拠点となる箱(家)づくりが必要だと思います。多くの場合、移住を希望される方は、市内のホテルで高い旅費を払って連泊しながら不動産屋をめぐって住む場所を探します。そこで私は、移住者さんにちょっと長く住んでもらえるお試しの家とか、格安で住めるところを紹介し、移住を希望される方が地域の魅力を十分に感じ、東山を拠点に本当に定住できる場所を探すお手伝いが出来たらと思っています。例えばですが、地域の方が地域のために使っていない空き家などを提供し、色んな専門家の方や地域の方とともにコツコツとDIYして住める場所が作れたら楽しそうだと思っています。そういう意味で、私の仕事場兼ルーミー図書館も、元は空き家だった場所を改修し、地域の皆さんの力を借りてDIYで造りました。理想を語るばかりでなく、私の決意表明と言いましょうか、一つの実行モデルとして見ていただけたらと思います。

 

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5.  第5回 東山区今熊野&泉涌寺

 

 

登録者京安心すまいセンター
最終更新日2023-02-24 13:00:41
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