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京都のくらし・昔の知恵~京の春のすまい方③花見弁当について基礎知識

【花見弁当について】

 

 「花より団子」という諺がありますが、やはり花見にはお弁当がつきものですね。
 落語の『貧乏花見』は玉子焼の代わりに沢庵、酒は番茶、蒲鉾はおこげで代用する話ですが、実際江戸の庶民はどのような花見弁当を食べていたのでしょうか。
 享和元年(1801)刊行の『料理早指南』に、当時の花見弁当を見ることができます。
 その中の、四段の重箱と、別に小割籠(わりご)という木製弁当箱からなった、一番豪華な弁当を紹介しましょう。

・一段目は小若鮎の焼物、むつの子、若筍煮、早蕨(さわらび)、うち銀杏、かすてら玉子、わた蒲鉾、春霞、長ひじきの詰め合わせ九種
・二段目は、あぶった蒸しカレイ、骨を抜いた一夜干しの桜鯛に、付け合わせとして昆布漬けの干大根、唐辛子、甘露梅
・三段目は所謂刺身の類で、ヒラメの刺し身、サヨリの細造の二種に、付け合わせとしてウドの細切りとワカメに赤酢味噌添え
・四段目は、菓子四種の詰合せ、小倉野きんとん、紅梅餅、椿餅、薄皮餅、かるかん
・割籠には御飯類である焼飯(やきいい)に、付け合せとしてよめ菜、つくし、萱(かや)の浸し物

 これはどうやら、庶民のものではなく、芸妓などを引き連れた大店の花見弁当のようですね。
 聞きなれないいくつかの食材についても、同書に詳しく記載されています。

 「かすてら玉子」は、名前のごとく玉子にすりおろした山芋を加え、小麦粉と砂糖を入れてすり混ぜ、焼き上げたものです。
 「わた蒲鉾」は魚のすり身にアワビの青わたを混ぜてすって、板に付けて蒸しあげた蒲鉾です。
 「春霞」は蒲鉾の一種で、鯛やヒラメのすり身に山芋、塩を加えてすりまぜ、一部にアワビの青わたを混ぜたものを作り、一段目にすり身、二段目に青わた、三段目にまたすり身を重ね、蒸し上げて小口切りにした三段の蒲鉾です。
 「長ひじき」は、ひじきの茎の部分だけにしたもので、専ら関東で売られているものです。
 関西では芽の部分だけの芽ひじきが一般的です。
 「桜鯛」は、花が盛りのころ、産卵のため内湾の浅瀬に群集する桜色の鯛をこのように呼び、花見鯛とも呼ばれています。
 また「甘露梅」は、塩漬けにした青小梅の種を取り、その中へ山椒や胡椒を入れ、紫蘇の葉で包み、砂糖蜜に酒を加えて漬けたものです。
 「サヨリの刺身」は、皮に少し癖があるので、酢味噌を添えています。
 関西では白味噌を用いますが、赤味噌を使うのが江戸好みです。
 菓子の詰め合わせですが、「小倉野」とは、餅などをさらし餡で包んだうえに蜜煮の小豆粒を付けたものです。

 「紅梅餅」は、紅梅の花形に切った餅菓子で、上新粉(じょうしんこ)を蒸しあげて砂糖を加えたもので、関東にしか伝わっていない「すあま」と呼ばれる江戸の餅菓子です。
 「椿餅」は、平安以前からある最も古い「唐菓子(からくだもの)」の一つで、『源氏物語』にも出てきます。
 「かるかん」は、米粉の一種である、かるかん粉に砂糖、山芋に水を加えて蒸し上げた菓子です。
 因みに、かるかん粉は鹿児島県を中心とした数社で製粉されているため、現在も九州特産の和菓子として知られています。

登録者 京安心すまいセンター
最終更新日 2015-04-05 12:28:24